製品をゼロから作る
アイデアはある。でも「何から始めればいいかわからない」という状態が最もよくあるパターンです。この章では、製品をゼロから作る具体的な流れを、実例とともに紹介します。
製品開発の7ステップ
ステップ1:価値提案を明確にする
最初に答えるべき問いは一つです。
誰の、どんな問題を、どうやって解くか
「便利なツール」「役に立つサービス」では不十分です。具体的に書きます。
悪い例:「英語学習を助けるアプリ」 良い例:「毎日5分しか時間がない社会人が、通勤中に英単語を1000語覚えられるアプリ」
ステップ2:キャンバスで整理する
第2部のキャンバスを使って、価値提案・顧客・チャネル・収益を一枚の図に整理します。
ステップ3:ユーザー像(ペルソナ)を描く
ターゲットを「30代会社員」ではなく、一人の具体的な人物として描きます。
- 名前・年齢・職業
- 日常のルーティン
- 抱えている悩み
- 今どんな解決策を使っているか(競合)
ステップ4:使用シーンを想定する
「いつ、どこで、どんな状況で使うか」を具体的に書きます。
例:「田中さんは毎朝7時、通勤電車の中で片手でスマホを操作しながら英単語アプリを5分使う」
この使用シーンが明確になると、機能の優先順位が自然に決まります。
ステップ5:機能を絞ってMVPを作る
MVP(Minimum Viable Product)とは、最小限の機能で価値提案を検証できるものです。
よくある間違い:思いついた機能を全部入れようとする
MVPのルール:「これがなければ使い物にならない」機能だけ残し、あとは削除する。
ステップ6:実際のユーザーで検証する
作ったMVPを、実際のユーザー(最低5〜10人)に使ってもらいます。
確認すること:
- 価値提案は伝わったか
- 実際に使ってもらえたか
- お金を払ってくれるか
ステップ7:フィードバックをもとに改善する
検証結果をもとに、キャンバスと製品を更新します。このサイクルを繰り返すことが製品開発の本質です。
実例:英単語学習アプリ
原典(easychen著)で紹介されている「福利単词」の事例を参考に、日本向けのシナリオで紹介します。
アイデアの出発点
「英単語を画像と一緒に覚えると記憶に残りやすい」という研究があります。この知見を使ったアプリを作れないか?
価値提案
英語学習が続かない社会人向けに、インパクトのある画像と一緒に英単語を覚えるアプリ。通勤5分で1日3単語、年間1000単語を習得する。
顧客セグメントと収益モデル
| セグメント | 価値提案 | 収益 |
|---|---|---|
| 個人ユーザー | 毎日の英語習慣 | フリーミアム(月額500円) |
| 英語学習コーチ | 生徒への教材提供 | 法人プラン(月額5,000円) |
MVPの内容
- 画像付き単語カード(100単語)
- 毎日のリマインダー通知
- 学習履歴の表示
これだけ。他の機能はすべて後回し。
開発ツール
- ノーコード:Glide、Bubble(プログラミング不要)
- AI活用:画像生成でコスト削減、ChatGPTで例文自動生成
- プロトタイプ:Notionに単語カードを作り、まず手動で検証
プログラミングができなくても大丈夫
現在は以下のツールで、プログラミングなしでも製品が作れます。
- Webアプリ:Bubble、Glide、Adalo
- LP・サイト:Webflow、Framer、Notion(Super.so)
- デジタル商品販売:Gumroad、note
- コース販売:Teachable、Podia、Udemy
まずノーコードで仮説を検証し、需要が確認できたら開発に投資する順番が正しい。